いろいろなメーカーの製品を試してみるのが好きな、高井優希です。
車高調だけで見ても、これまでに様々なメーカーの製品を試してきました。過去の180SXではJICのTYPE-SA1、GETのG-PRO。JZX90ではCUSCOのComp-2。JZX100ではTEINのTYPE-FLEX。ER34ではARROWZのARROWZ DAMPER。
今の180SXにも、購入したときからブリジストンのPOTENZA NPG スペックSSという車高調がついていたのですが、バネレートが高いのか乗り心地がかたく、減衰力調整ネジが無くなっていて減衰力の調整ができず、バネに錆びも出ている状態。
なるべく早く交換したいと思っていたところ、ずっと気になっていたマイルドダンパーという車高調が値下げしていたので、購入してみました。
マイルドダンパーとは
カーショップ ライブラが販売している、オリジナルの車高調キット(LS SUSPENSION KIT)です。全長調整式(フルタップ)で、減衰力調整は前後ともに15段ずつ。単筒式のショックを採用し、オーバーホールにも対応してます。
180SX用のマイルドダンパーは、フロントがピロ調整式のアッパーマウントを採用し、リアはリジットの固定式。バネレートがフロント8kgf/mm、リアが6kgf/mmと、言ってしまえば「よくある仕様」です。
本体が黒く、アッパーとロアシートがグリーンアルマイトという、シンプルながらとてもきれいな見た目です。
製造元はファイナルコネクションということですが、見た感じリミテッドIIに似ている…かな?
工場一括大量生産、そして某オークションのみの販売、という思い切った販路により、業者価格が実現。なんと、180SX用が新品で60,000円という価格で出品されていました。
ずっと気になっていながらも悩んでいたところ、オータムフェアということで通常60,000円が58,000円に値下げされていたので、思い切って落札!翌日には手元に到着しました。
マイルドダンパーに交換する作業
手元には来たけど、交換できるのは週末。毎日うずうずしながら仕事を頑張り、ようやくやってきました週末!それでは、交換作業に入ります!(笑)
まず最初に、マイルドダンパーの長さが左右で違っていたら、揃えておきます。長さが違っている状態で取り付けても、車高がちぐはぐになってしまいますので。
すでに車高調を使っていて、とりあえず今の車高と同じくらいに合わせる場合は、この後、取り外した古い車高調と同じ長さに合わせ直しておくといいかもしれません。
自分の場合は、届いた状態で左右の長さが揃っていたので、揃える必要はなし。今の車高と同じくらいになるよう、フロントはロアシートを縮む方向へ25回転しておきました。
交換にあたり用意するもの
必要なものは、メガネレンチもしくはソケットが12mm、14mm、17mm。CRC(KURE5-56)、ブレーキクリーナー、フロアジャッキ、リジットラック(ウマ)2個。
マイナスドライバーとハンマーもあればGood。17mmメガネレンチ(ソケット)は、2本あった方がいいかも。12mmは無段階タイプのラチェットだとなお良し!
あとは、ボルトやナットが外れなくてもへこたれないだけの気合と根性とやる気!(笑)
フロント側を交換
まずはフロント側から。
フロント側をジャッキアップする場合は、オイルパンのすぐ後ろあたりのメンバーで持ち上げます。ジャッキアップした後は、ウマを忘れずに。
タイヤを外し、念のため車両の下に入れ(ウマの後ろあたり)、既存のサスを外していきます。
上の写真で、赤い丸の部分はブレーキホースが固定されている部分。コの字型のクランプで止まっているので、マイナスドライバーなどをあてがってハンマーで軽く叩くと、簡単に外れます。
緑の丸が、後期型にだけ存在するABSのライン。12mmのボルトで留まっているので外します。サビなどで固着している場合は、CRCを十分に吹いてから外しましょう。取り付けられているプレート部分が柔らかいので、力ずくで外そうとするとプレートがもげる可能性があるので、インパクトレンチがあれば使った方がいいかも。
黄色い丸が、一番の難関。17mmのボルトとナットで留まっているのですが、これがとにかく固い!ナットにもボルトにもCRC吹きまくりで、場合によっては鉄パイプなどを使って延長技で外しましょう。
なんて解説をしていますが、これがとにかく外れなかったんです。
CRCをたっぷり吹いて10分放置…外れない。
またたっぷり吹いて1時間置いても…外れない。
またたっぷり吹いて2時間置いても…外れない。
またたっぷり吹いて1日置いても…外れない。
仕方ないので、CRCより強力らしい凍結収縮浸透潤滑剤フリーズルブを投入!
それでもだめ。フリーズルブと鉄パイプ延長技を併用しても、ナットはピクリとも動かない。
今ある工具ではどうしようもない雰囲気なので、強力なインパクトレンチを購入!最大300Nmという謳い文句を信じ、力でねじ伏せてやる!
しかし、インパクトレンチを購入した直後、別件トラブルでしばらくクルマが動かせなくなってしまったので、作業はしばらくお預けになっていました。
なんだかんだで、マイルドダンパーが手元に来てから1ヶ月くらい経過したころ、ようやく交換作業再開。フリーズルブを吹きまくり、いきなりインパクトレンチで勝負をかけます!
しかし、最大300Nmの力を持ってしても、ナットはピクリとも動かず。
ここでふと思う。これまでずっとナットを緩めようと頑張っていましたが、鉄パイプ延長技でナットを緩める場合、力を入れる方向は上。自分の180SXは、ボルトが右側から刺さって、左側にナットが締め付けられているため、どうしても持ち上げる方向に力をかける必要があったのです。
発想の転換、という訳ではありませんが、これ、ボルト側を緩めようとすれば、上から下に力をかけるようになるので、鉄パイプに全体重をかけられるのでは?
早速、ボルト側にメガネレンチをかけ、鉄パイプで延長して全体重をかけてみたら…わずかに動いた!すぐ隙間にフリーズルブを吹き、さらに体重をかけたところ、どんどん緩んでいき、ついにはナットも一緒にくるくる回るようになりました。
こうなれば、あとは簡単。ボルト側はメガネレンチで固定し、ナット側をラチェットで緩めて、ようやくナットを外すことができました!
外せたことに喜びすぎて写真を忘れてしまったので(笑)、上の写真は反対側ですが、ナットさえ外れてしまえば、あとはボルトを抜き、アッパー側の14mmナット3個を外せば、サスが外れます。いや~、ここまで長かった!
続いて、マイルドダンパーを取り付けます。外すときと逆の手順で、まずアッパー側を軽く固定し、ブラケット側にボルトを入れて軽くナットを締め、ブレーキホースとABSのラインを固定します。
ABSラインは、マイルドダンパー側に取付穴がないので、付属されていた結束バンドで固定します。
写真がちょっとぼやけてしまってすみません。
ここまで仮固定ができたら、各所を本締めします。アッパーの14mmナット3つ、締め付けトルクは40~54Nm程度。ブラケット側は17mmのボルトとナットが2本ずつ、締め付けトルクは98~117Nm程度。
これで片側の交換が完了しました。反対側も同じ要領で交換します。
この日は他に予定があったため、フロント側の交換だけで終了。リア側は後日の作業です。
リア側を交換
ということで、フロント側を作業してから数日後、リア側の交換作業開始です。
ジャッキアップをする前に、トランクルームからアッパーを固定している2つのナットを12mmのメガネレンチやラチェットなどでギリギリまで緩めておきます。両方のナットを完全に外してしまうと、ジャッキアップしたときにサスが抜け落ちてしまう可能性があるので、片方だけでいいので残しておきましょう。
写真のような状態にしたら、ジャッキアップし、ウマ(リジットラック)をかけ、タイヤを外します。
次に、17mmのメガネレンチかラチェットで、サス下側のブラケットを固定しているナットを外します。こちらもとにかく固いので、CRC(KURE5-56)もしくはフリーズルブを吹きまくり、場合によっては鉄パイプ延長技で外します。
ここもブレブレの写真ですみません。
ナットが外れたら、アッパーに軽くかけてあるナットを完全に取り外し、ブラケット部分をボルトから抜けば、古いサスが外れます。
続いて、マイルドダンパーを取り付けます。取り付けるときは、まずアッパーのボルトをボディの穴に通して軽くナットをかけ、ブラケット部をボルトに通します。ブラケット部は、飛び出ている方がホイール側(外側)を向くように取り付けます。
左右入れ替わっていますが、気にしないでください(笑)
ちなみに、ブラケット部がうまく入らない場合は、写真のようにアーム部分をジャッキで持ち上げてから、ブラケット部をハンマーなどで軽く叩いてあげるとすんなり入ります。
この後は、アッパー側を先に固定してもいいですし、ブラケット側を先に固定してもいいです。やりやすい順番で固定しましょう。ブラケット側から固定する方が安全かな?
アッパー側とブラケット側の両方を固定できたら、双方を本締めします。アッパーの12mmナット2つ、締め付けトルクは16~18Nm程度。ブラケット側は17mmのナット1つ、締め付けトルクは98~117Nm程度。ブラケット側は外れてしまうと本当に危険なので、トルクは強めに110〜117Nmくらいかけた方がいいかもしれません。
これで片側の交換が完了しました。反対側も同じ要領で交換します。リア側の方が楽ですね。
交換が完了したら、一旦クルマを動かす
全てのネジやナットを規定トルクでしっかり締めたことを確認したら、タイヤを付けて、一旦クルマを動かします。前後にまっすぐ動かすだけでなく、右旋回、左旋回を最低でも1回ずつ行っておきましょう。
これを行っておくと、車高調が車重に慣らされて馴染み、正しい車高に落ち着くから(だと思っています)。
クルマを動かした後は、前後左右それぞれ、地面からフェンダーまでの距離を測り、車高のズレがないか確認します。ズレていなければそのままでいいですが、ズレがある場合は調整を行います。
もちろん、さらに車高を落としたい場合や、逆に車高を上げたい場合、フロント側はキャンバーの調整なども、ここで行います。
調整を行ったら、またクルマを前後、右旋回、左旋回させ、地面からフェンダーまでの距離を測ります。この作業を、左右のズレがなく、納得がいく車高になるまで繰り返します。
とりあえず車高が確定したら、交換作業は終了です。どのみちアライメント調整が必要になるので、ここでの調整は多少ズレがあっても、妥協できるレベルなら妥協してしまっていいでしょう。
交換後の乗り心地
まず最初に感じたのが、しっかりした乗り心地。今までの車高調が古かったこともあると思いますが、マイルドダンパーという名前の通り、乗り心地はとてもマイルドに感じます。
減衰力調整もちゃんと機能しますし(当たり前!)、ゴツゴツ感が驚くほど低減されました。踏ん張りや突き上げなども不安に感じることは無く、少なくとも街乗りでは必要十分です。
価格が非常に安いこともあって、サーキットなどでガンガン走った場合は不安要素が出てくる可能性が「無きにしも非ず」ですが、自分はもうサーキットを走ることはないので、その辺の感想は他の方を当たっていただければと思います。
そうそう、減衰力の設定は、新品取り付けということと街乗りオンリーのため、一番左(柔らかい方)にしています。
さいごに
いくらファイナルコネクションのOEMとは言え、新品なのにやたら安いので、正直不安な面もありました。実際、耐久性がどれくらいあるのかはわかりません。
でも、少なくとも取り付けてみた感じでは、とても乗りやすくていい車高調だな、と思いました。レヴォーグの純正ビルシュタインの突き上げがひどいので、それと比べてもずっと良い感じ。
車高はとりあえず少し高めにしましたが、もうちょっと下げてみてもいいかな。
ということで、ライブラのマイルドダンパーへの交換作業でした!
上でも書きましたが、足回りを交換したり車高調整を行った後は、アライメント調整を忘れずに行いましょう。やるとやらないでは、乗り心地や走りだけでなく、燃費やタイヤの減りもだいぶ違ってきます。
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