180SXを5穴化するか、4穴のままでいくか、ずっと悩んでいた、高井優希です。
本当に悩み続けました。5穴ホイールをたくさんストックしているので、有効活用するためには180SXを5穴化した方が無駄にならない。
でも、ホシノインパルやロンシャンなど、当時モノの15インチも捨てがたい。むしろ履きたい。でも、某オークションとにらめっこしていても、なかなか「これだ!」といったものが出てこない。
15~16インチくらいの深リムホイールで、エアロも最低限にして旧車らしいスタイルに持って行くか、今のままの派手なエアロに18インチのホイールで今どきっぽいスタイルに持って行くか。
悩みに悩んだ挙句、5穴化することに決めました。今回はフロント5穴化作業です。
調べて分かった範囲で、関連する日産純正部品の品番を最後に追記しました。年式による違いなども確認していますが、間違っている可能性もありますので、購入の際は自分でも確認するなど自己責任でお願いします。
2023年6月7日追記
車検場にもよると思いますが、いつもお願いしている車検場では、5穴化しただけでは車検NGになりました。強度検討書を添えて公認(構造変更届)を取る必要があるとのことです。詳しくは後述します。
用意するもの
180SXをはじめとしたS13系では、純正パーツを流用して5穴化するか、社外品のS13系用に作られた5穴ハブを使うかで、揃えるものや作業が変わってきます。
純正パーツを流用する場合
純正パーツを流用する場合、ブレーキはS13系のものをそのまま使うのであれば、以下のパーツを用意しましょう。
◆S14K's、もしくはS15用5穴ハブ
◆S14K's、もしくはS15用ナックル
◆S15スペックS用5穴ブレーキローター
◆R32タイプM用ロアアーム
◆ナックルの穴径を合わせるためのカラー(外径14mm、内径12mm)
純正パーツならではの安心感がありますが、揃えるものが多いので、時間をかけてゆっくり集めるといいカモ。
社外パーツを使用する場合
社外パーツを使用する場合は、以下のものだけでOKです。
◆S13系用5穴ハブ(GT-1やZ.S.S.、D-MAXなど)
◆S15スペックS用5穴ブレーキローター
揃えるものが少ないことと、新品パーツで揃えられるのがイイですね。
ハブ・ローター以外に用意するもの
再利用はあまり推奨できないコッターピン(割りピン)は、日産純正部品で新品を購入しておきましょう。自分はリアで使うことも考えて4本購入しておいたのですが、リア用品番で購入したら、フロントはサイズが違ったので泣く泣く再利用しました。
ハブを固定するシャフトにはグリスを塗っておいた方がいいので、高速ベアリング用のグリスも用意しておきましょう。エーゼットの万能グリースがおすすめ。200gで十分すぎる量です。
ハブ交換に必要な工具類として、ジャッキとウマ2個、ブレーキキャリパーを外すために14mmのソケットorレンチ、キャリパーのブラケットを外すために19mmのソケットorレンチ、センターのナットを外すために30mmのソケットとスピンナーハンドル。センターのナットを締め込むために30mmのソケットに対応したトルクレンチ。リアハブの交換も考えると、少なくとも350~400Nm以上のトルクに対応したものがいいです。
また、センターのナットは非常にかたいので、ロングタイプのスピンナーハンドルがあるといいかも。もしくは、スピンナーハンドルを延長するための鉄パイプはぜひとも欲しいところ。
工具以外では、CRC(KURE5-56)、ブレーキクリーナー。ワイヤーブラシがあると、ついでに錆び落としもできますね。そしてタイヤ付き5穴ホイール2本と、ホイール用ナットが計10個。
あとは、ナット類が緩まなくてもへこたれないだけの気合と根性!(笑)
今回はフロントのみ5穴化
ホントは前後とも5穴化したいのですが、リアハブがまだ入手できていないので、今回はフロントのみ。社外パーツで5穴化します。
ハブはGT-1モータースポーツのS13系5穴ハブキットを、ブレーキローターはDIXCELのS15スペックS用PD-typeを購入しました。
ちなみに、リアハブはS14K'sやS15用がそのままポン付けできるようなので、某オークションでのんびり探す予定。
・・・その後、リアも5穴化しました。リア5穴化については以下の記事へどうぞ。
フロント5穴化作業
それでは、作業開始です。
センターの30mmナットを緩める作業はジャッキアップしたままでもできるのですが、タイヤをはめて接地した状態じゃないとハブごと一緒に回ってしまうと勘違いしていたので、面倒な手順を踏んでいます。
通常は、ジャッキアップしてウマをかけた状態でもセンターナットを外せますので、私のように面倒なことをしないようご注意ください(笑)
まずはジャッキアップしてタイヤを外し、ハブのセンターキャップを外します。
センターキャップは金属製で、ハブに押し込まれているので、センターキャップとハブの境目にマイナスドライバーを当てて、マイナスドライバーのお尻をハンマーなどで叩いて外すと、比較的楽に外せるかもしれません。ただし多少の傷は我慢しましょう。
センターキャップが外れたら、コッターピン(割りピン)を外します。
ホイール側のセンターキャップも外しておいて、一旦ホイールを元通りに取り付けて、クルマを降ろします。ホイールナットは、ガタが出ない程度には締め込んでおきます。
30mmのソケットにスピンナーハンドルをつけ、さらに鉄パイプなどで延長し、ハブを固定しているセンターナットを緩めます。
フロント側はセンターキャップがついているので、おそらく固着している車両はほぼないと思いますが、もし固着している場合はCRCなどをしっかり吹いておきましょう。自分の車両は固着がないどころか、ナットが新品同様に綺麗な状態でした。
完全に取り外してしまうと危険なので、ここでは軽く緩める程度。だいたい1/4回転分ほどかな。ナットが緩んだら、再度ジャッキアップし、ウマをかけます。
ホイールを外したら、ブレーキキャリパーを外しにかかります。14mmのボルト2本で裏側から固定されているので外します。
ボルト2本を外したら、ブレーキホースに傷をつけないように気を付けて、適当な場所にキャリパーをひっかけておきます。
キャリパーが外れたら、ブレーキブラケットを外します。こちらは19mmのボルト2本で固定されています。
キャリパーとブラケットが外れたら、続いてブレーキローターを外します。
そのまま手前に引っ張れば外れるはずですが、ほとんどの車両は固着していることが多く、すんなりと外れないことが多いので、サービスホールと呼ばれる穴にボルトをねじ込んで外します。
左右均等に締め込んでいきましょう。固着が外れる程度に締め込めば、後はブレーキローターをまっすぐ手前にずらして外せます。
ブレーキローターが外れたら、あとは30mmのセンターナットを完全に外し、ハブを外してしまいましょう。
ハブが外れたところで、新旧ハブを並べてみました。今までありがとう4穴ハブ。これからお願いします5穴ハブ。
さて、それでは5穴ハブを取り付け…る前に、ABS用のパルスリングを移植します。固着していることが多いと思いますので、マイナスドライバーを当てて、ハンマーで少しずつ叩きながら外していきます。
あまり強く叩いてしまうと歪みが出てしまうと思いますので、軽い力で少しずつ、根気よく外しましょう。
外したABSパルスリングは、5穴ハブに取り付けます。こちらも根気よく、少しずつハンマーなどで叩きながらはめ込んでいきます。
そして、もうひとつ忘れてはいけません。ハブの中央に入っているスペーサー(ワッシャー)も移植しておきましょう。これを忘れるとハブが固定されず、最悪シャフトを傷つけてしまいます。
シャフトに残った古いグリスを拭き取り、高速ベアリング用グリスをたっぷり塗ったら、5穴ハブを取り付けます。センターナットの規定トルクは147~215Nmですが、できるだけ高トルク、200Nm以上で締めておいた方がいいかも。私は210Nmで締め込みました。
センターナットを取り付けたらコッターピンを入れるのですが、ここで致命的なミス!あらかじめ用意しておいたコッターピンはリア用品番だったため、フロント用よりサイズが大きい!
写真の左がフロント用、右がリア用です。まさかフロントとリアでサイズが違うとは思いもよらず。
仕方がないので、外したコッターピンを泣く泣く再利用します。
続いて、購入しておいた5穴のブレーキローター(S15スペックS用など)を取り付け。新品なので綺麗です。
外した時とは逆の手順で、ブレーキブラケット、キャリパーを取り付けます。締め込みトルクは98~117Nmです。
あとは、待望の5穴ホイールを取り付けです。ER34スカイラインで使用していたSA3R 18x8.5J(+45)は、手持ちの3mmスペーサーを入れても車高調と干渉してしまい、取り付けることができなかったので、とりあえずヴォクシーで使用していたVoltec Hyper-MS 18x7.5J(+48)に3mmスペーサーを入れて仮に使用します。
ブレーキが小さいので、さすがに18インチだとスカスカですね。やはりノーマルブレーキの180SXは、17インチまでかなぁ。
そして、タイヤがミニバンサイズ(215/45R18)なので、このままではかなり前上がりな姿勢に。早めに実家へ行って、17インチ5穴のホイールを持ってこなければ!
話は脱線しましたが、これで片方の作業が終わりました。
もう片方も同様に作業したら、ウマとジャッキを外します。その後、クルマを動かす前に、必ずブレーキを何度か踏んでおきましょう。キャリパーのピストンが開いているため、最初の1~2回はブレーキペダルがスカスカになっているはずです。
何度かブレーキペダルを踏んで、スカスカではなくなったら、まずは10km/h程度のゆっくりした速度から、少しずつ速度を上げながらブレーキの効きを確認しておきましょう。ローターが新品の場合は特に念入りに。ローターとパッドのアタリができるまでは、ブレーキが効きにくいので注意が必要なのです。
ここまでで、フロントの5穴化作業は完了です。
ゆっくり写真を撮りながらでしたが、準備から片付けまでで1時間半ほどの作業でした。思いのほか、難易度は低いかもしれません。
さいごに
社外パーツを使用する場合は、必要なパーツ全てを新品で揃えられるのがいいですね。GT-1モータースポーツ製ハブは純正ベアリングが使用されているとのことなので、耐久性も悪くなさそう。そして、交換手順も少なくていいのがGood。
ハブを交換しなくても5穴にできる、4to5チェンジャーというワイトレのようなパーツも出ていますが、ハブボルトへの負荷がとても大きいため、こまめなメンテナンスは必須。それでもハブボルトが折れてしまうこともあるようなので、正直おすすめはできないでしょう。
チェンジャーを使うにしてもハブボルトの打ち替えが必要になるので、どうせそこまで作業が必要なら、5穴ハブに交換してしまった方が安心感も違いますよ。オフセット量も変わらないですし。
ということで、フロントの5穴化作業でした。
命に関わる重要部品の交換ですので、ボルトやナット類の締め込みトルクは規定値を守り、取り付け確認や作業後の確認も念入りに行いましょう。5穴化までの手順を紹介しましたが、作業は自己責任で行い、少しでも不安がある方はショップや整備工場などプロにお願いした方がいいです。
ちなみに、GT-1モータースポーツ製5穴ハブは、メーカーの通販サイトで取り扱いがあります。通販で購入したい場合は、メーカーの通販サイトを使うといいでしょう。
そのほか、某オークションでもメーカーが直接出品しているので、そちらから落札するのもアリかもしれません。落札の際は、追加料金なしで10mmロングハブボルトにしていただくこともできますよ。
日産純正部品の品番一覧
5穴化する際に必要な、もしくは必要になるかもしれない日産純正部品のうち、調べてわかった品番を以下にまとめておきます。品番をクリックすることで、一部Amazonの購入ページへ飛べますので、ネット通販で購入する際はご利用ください。
40200-5L310:S15用ABSあり5穴ハブ
40014-5L300:S14/15用ナックル右
40015-5L300:S14/15用ナックル左
40206-85F00:S15スペックS用5穴ブレーキローター(前期)
40206-2Y003:S15スペックS用5穴ブレーキローター(後期)
00921-4302A:フロント用スプリットコッターピン
47970-60F00:180SX アンチスキッドローターセンサー(ABSパルスリング)
40264-F6600:フロントハブ内スペーサー(ワッシャー)
43234-50A06:フロントハブ用センターキャップ
01225-00541:フロントハブ固定用30mmナット
2020年4月21日追記
00921-4302A(フロント用スプリットコッターピン)はAmazonで廃番扱いになりました。通販では2020年4月現在、業者版モノタロウにて10個単位で購入可能です。ただし、個人での購入はできません。通販以外では、日産純正部品にて1個単位での購入が可能です。
47970-60F00(180SX アンチスキッドローターセンサー)はAmazonで廃番扱いになりました。業者版モノタロウでも廃番扱いになりました。日産純正部品でも、在庫が無いようです。
上記2点は、実際にAmazonとモノタロウ、日産純正部品(業者経由)で発注して確認しています。上記以外の品番については未確認ですが、年式を考えると廃番扱いになっているものが多いかもしれません。
2023年6月7日追記 車検NG
冒頭でも書きましたが、いつもお願いしている車検場では、180SXの5穴化は改造申請届を出して公認を取らないと車検NGになりました。前回の車検は問題なく通ったのに、という話をしたら、2023年4月から厳しくなったそうです。
自分の場合、GT-1の5穴ハブキットを使用していますが、まずはこのハブの強度検討書が必要とのこと。当然、説明書には「競技用」と書かれているので、そんなものはありません。
じゃあ、S14やS15などからハブやナックル等を流用した場合はどうなるか、ですが、これも強度検討書が必要とのこと。型式の違う車両からの流用は、それがたとえ純正品であろうとダメだと言われました。ということは、意味はないですがS14シルビアQ'sの4穴ハブを移植しても、厳密に言えばNGってことになるのかな。
となると、時間と労力、お金をかけて強度試験を行って公認を取るか、諦めて4穴に戻すか、それとも5穴でも問題なく車検がクリアできる車検場を探すのか。
地域や場所、担当官などによっても解釈が違う可能性がありますので、一応「実際に車検NGになった事例あり」ということだけ追記しておこうと思います。
2023年10月29日追記 4穴戻し
その後、4穴に戻すことにしました。4穴戻しの記事はこちらから。
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