いつも車検をお願いしている車検場で、180SXの5穴化は公認を取らないと車検NG、と言われてしまった、高井優希です。
その後もよく「そんなことはありえないでしょ!」と言われるのですが、でも、現実問題、ダメと言われてしまったのです。どうしてもその車検場で5穴で通したいなら、公認を取れ、ということですね。
前の車検では問題なかったのに、突然そんなことを言われ、非常に理不尽ではありますが…そもそも車検を通してもらえなければ公道を走れなくなってしまうし、ここでゴネて次回から出禁にでもされたら泣くに泣けないわけで…。
その辺のお話は、以前の記事で紹介しました。
そんなわけで、せっかく苦労して5穴化したのですが、4穴に戻してしまう事にしました。5穴化から4穴戻しへの作業です。
ちなみに、4穴から5穴化したときの記事はこちら。
用意するもの
4穴戻しするだけなので、本来用意するものは、5穴化する前の足回り一式と工具類だけでいいのですが…今回、せっかくなので(なかばヤケになって)、ハブとローター、ナックル、そして一部ボルト類を新たに用意しました。
ハブは、後期型180SX純正のリファービッシュ品で、ベアリングを新品に交換されているものがあったので、それを購入。
ローターは、DIXCELのPDタイプで、180SX用4穴ローター。リア用の品番はPD-3252008S。
あと、ハブ交換で準備し忘れてしまうことが多いコッターピン。なるべく使い回さない方がいいようなので、新品を用意しておきました。リア用の品番は00921-5402A。フロント用とはサイズが違うので注意。
ナックルは、オートリフレッシュイッセの純正リファービッシュ品で、NISMO強化ブッシュ圧入済みを購入。
なぜナックルも?と思われそうですが…車検を通す際は、ロアアーム・ナックル・ハブが一体になったままの状態で取り外していた足回りをそっくり入れ替えてもらったので、ナックルも強化品ではなく純正品でした。しかし、プロフェッサーオートサービス製の強化ナックルは溶接跡があるため、次回の車検で今度はこのナックルが指摘される可能性がありそうな気がするのです。
だったら費用はかかりますが、先手を打って、ハブ交換ついでにナックルも純正品に戻すことにしたのです。
ナックルとロアアーム接続部のコッターピン(品番08921-3202A)も忘れずに。
ちなみに、オートリフレッシュイッセでは取り外した純正ナックルを買い取ってもらえます。自分は純正ロアアームと一緒にお送りし、両方とも買い取っていただきました。
ハブを固定するシャフトにはグリスを塗布するので、高速ベアリング用のグリスとして、エーゼットの万能グリースも必要です。5穴化の際に買ったものがたっぷり残っているので、それを使います。
あとは、"ついで"ということで各種ボルト類も新品に交換することにしました。フロント側も新品で用意しておけばよかったなー…と後悔しているところ。
ボルト類の純正品番は、記事の最後でまとめています。一部廃番のため代替品になってしまうものもありますが、今のところ一通り新品で手に入ります。
工具類は以前と同じ、フロアジャッキ、ウマ2個、ブレーキキャリパーを外すために14mmのレンチ、キャリパーのブラケットを外すために17mmのレンチ、センターのナットを外すために36mmのソケットとスピンナーハンドル。センターのナットを締め込むために36mmのソケットに対応したトルクレンチ。300Nm以上のトルクに対応したものが必要です。あとは、ハブプーラーがあると作業がだいぶ楽になります。
また、センターのナットは非常にかたいので、ロングタイプのスピンナーハンドルがあるといいかも。もしくは、スピンナーハンドルを延長するための鉄パイプはぜひとも欲しいところ。
そして、ロアアームとナックルを分離するには、接合部の側面をハンマーで叩けばいいらしいのですが、もしそれで外れなければ、外すための工具を用意しないといけないかもしれません。コッターピンを外してナットを外しても、簡単には引っこ抜けない作りになっています。
工具以外では、必要に応じてCRC(KURE5-56)、ブレーキクリーナー。ワイヤーブラシがあると、ついでに錆び落としもできますね。そしてタイヤ付き4穴ホイール2本と、ナットも変える場合はホイール用ナットが計8個。
あとは、ボルトやナット類が緩まなくても、へこたれないだけの気合と根性!(笑)
今回はリアの4穴戻し
フロントは既に4穴に戻しているので、今回はリアの4穴戻し作業です。フロントの4穴戻し作業は以下の記事で紹介しています。
リアの4穴戻しということで、ハブは180SX純正のリファービッシュ品を。ブレーキローターは、フロント用と一緒に購入した、DIXCELの180SX用PD-typeを使います。
あとは繰り返しになりますが…車検時に5穴化がNGになったことから、補強鉄板の溶接跡がはっきり見えるプロフェッサーオートサービス製の強化リアナックルも次回車検時にNGを出されそうな気がするので、180SX純正品(リファービッシュ品)に交換します。
nismoのロアアーム(リアAアーム)については、記載変更不要を証明する書類があるのでそのまま使用します。
リア4穴戻し作業
それでは、作業開始です。
作業の都合上、写真が右側のものや左側のもの、撮り忘れたものは5穴化作業時の写真を流用したりとマチマチですが、何卒ご容赦ください。
サイドブレーキを強めに引いておき、ジャッキアップしたらウマをかけます。タイヤを外して、ハブのセンター部についているコッターピン(割りピン)を外します。コッターピンを外したら、ギザギザのインシュレーターも外しましょう。
36mmのソケットにスピンナーハンドルをつけ、さらに鉄パイプなどで延長し、ハブを固定しているセンターナットを緩めます。フロントと違い、リアのセンターナットはむき出しになっているので、固着している車両が多いと思います。固着している場合は、CRCを吹き付けて数分置いておくこと推奨。ここでワイヤーブラシを使い、ボルト部をキレイにしておくと、ナット外しが少し楽になるかも。
センターナットが外せたら、サイドブレーキを下ろし、ブレーキキャリパーを外しにかかります。14mmのボルト2本で裏側から固定されているので外し、ブレーキホースやサイドブレーキのワイヤーを傷をつけないように気を付けて、適当な場所にキャリパーをひっかけておきます。
キャリパーの次に、ブラケットを外します。こちらは17mmのボルト2本で裏側から固定されています。
ブラケットが外れたら、ブレーキローターを外します。そのまま手前に引っ張れば外れるはずです。固着して外れない場合は、サービスホールと呼ばれる穴にボルトをねじ込んで外します。
ブレーキローターが外れたら、36mmのセンターナットをナットの半分だけネジ山がかかるように付け直し、プラハンマーなどでナットを軽く叩きます。ドライブシャフト(ボルト部分)は絶対叩いてはいけませんよ!
ナット部分を叩いていると、ドライブシャフトの固着が外れて、2~3cmくらい奥にスライドするようになります。ドライブシャフトは外側に押し出す力が働いているので、押し込んでも手を離すと元に戻ります。押し込まれたまま固定される、という訳ではないので、固着していると思い込んで叩きすぎないように気を付けてください。
軽く叩いても外れない場合は、ハブプーラーという道具を使うと楽に外れるようになります。
今回ハブプーラーは使用しなかったので、以前の記事の写真を流用します。
ハブプーラーは、写真のように2箇所をホイールナットで固定し、真ん中のシャフト部分をねじ込んでいくと、ドライブシャフトが押されて固着が外れる、という仕組みです。ホイールナットは手締めで十分です。
ハンマーではびくともしないドライブシャフトも、ハブプーラーを使えばあっという間に固着が外れ、奥へスライドできるようになります。専用のツールがあると、作業が楽になりますよ。
奥にスライドできるようになったら、今度はハブを裏側から固定している19mmのボルト4本を外します。
これが非常に外しにくく、力も入りにくいので苦労します。ギアをニュートラルにし、ドライブシャフトを回しながら凹み部分をうまく使うことで、少し作業しやすくなります。
もしくは、アッパーアーム・トラクションロッド・トーコンロッド(いずれも19mmのボルト&ナット)・車高調(17mmのナット)を外して、ナックルを手前に倒しながら作業すると、少し楽になるかもしれません。今回はナックルも交換するので、この方法で作業してみましたが、非常に楽でした。
ハブを固定している19mmのボルト4本が外せたら、ハブを取り外します。
5穴化してからあまり年数が経っていないので、ハブが簡単に外れましたが、ほとんどの車両ではハブが固着していて、簡単に外れないかもしれません。その場合は、一旦タイヤを取り付けて軽くナットを締めておき、タイヤを蹴ることで固着を剥がすといいでしょう。
ハブが外れたら、次にナックルを取り外すため、アッパーアーム・トラクションロッド・トーコンロッド・ロアアームのボルト、車高調ナットを外します。こちらも以前交換してからあまり年数が経っていないので、簡単に外れました。
冒頭でも書きましたが、ロアアームとナックルは、簡単には分離できないようになっています。接合部の側面をハンマーで叩けば外れるらしいのですが、もしそれで外れなければ、外すための工具がないと無理かもしれません。コッターピンを外してナットを外しても、簡単には引っこ抜けません。
このタイミングで、ドライブシャフトのスプライン部分を綺麗にしておきます。ゴミがついていたりすると、それが元で傷や削れが発生する可能性があり危険です。
取り外しはこれで完了。続いて、新しいナックルを取り付けます。
アッパーアーム・トラクションロッド・トーコンロッド・ロアアーム・車高調を接続し、それぞれボルトやナットで固定します。一旦仮止めしておき、ジャッキなどで1G状態をつくり本締めします。
締め付けトルクは、アッパーアーム・トラクションロッド・トーコンロッドの19mmボルト&ナットは78~98Nm。ナックルとロアアーム接続部の22mmナットは71~86Nmで締めた後に、コッターピンを入れます(下の写真の○部分)。車高調の下側の17mmナットは88~107Nmです。
ドライブシャフトのスプライン部分に高速ベアリング用のグリスをたっぷり塗布したら、ハブの取り付けです。
左側が新たに取り付ける4穴ハブ、右側が今まで使用していたS15純正の5穴ハブ。
ハブとナックルの間にバックプレートを忘れすに挟み(これを付け忘れると車検に通らないらしい)、裏側から19mmのボルト4本で固定します。1本だけを一気に締めたりせず、4本均等に。締め付けトルクは78~98Nm。
ドライブシャフトを回して凹み部分をボルト位置に合わせ、さらに押し込むことで、19mmのソケットが入るスペースができます。
ドライブシャフトにはワッシャを通して、センターナットを締め込んでおきます。この時点では手締めでOK。
新たに購入した4穴のブレーキローター(180SX用)を取り付け、ブレーキブラケット・キャリパーを取り付けます。ここの締め付けトルクは38~52Nm。
ブレーキ関係の取り付けができたら、サイドブレーキを目いっぱい引いておき、センターナットをトルク300Nmで締め込みます。締め込んだ後は、インシュレーター、ギザギザカバーの順で入れ、新品のコッターピンを。
あとは4穴ホイールを取り付ければ、片側の作業が完了です。今回は手持ちのホイール RAYS VERSUS CAMPIONATO SS6 で。
ここまでの作業を左右両方行ったら、ウマを外してジャッキを下ろし、低速での走行確認。まずは10km/h程度のゆっくりした速度で、少しずつ速度域を上げながらブレーキの効きを確認しておきましょう。ローターが新品だった場合は特に念入りに。ローターとパッドのアタリができるまでは、ブレーキが効きにくいので注意が必要です。
ガタや異音がなければ、リアの4穴戻し作業は完了です。
さいごに
ということで、5穴から4穴への戻し作業でした。
命に関わる重要部品の交換ですので、ボルトやナット類の締め込みトルクは規定値を守り、取り付け確認や作業後の確認も念入りに行いましょう。4穴戻しの手順を紹介しましたが、作業は自己責任で行い、少しでも不安がある方はショップや整備工場などプロにお願いした方がいいです。
さて…冒頭でも書きましたが、2023年6月の時点で、いつもお願いしている車検場では180SXの5穴化は改造申請届を出して公認を取らないと車検NGになりました。前回の車検は問題なく通ったのに、という話をしたら、2023年4月からその車検場では見解が厳しくなったそうです。
自分の場合、リアはS15の純正ハブを使用していましたが、「180SX用」の純正部品ではないのでダメだそうです。無加工の純正品流用ですらダメとなると、純正品をベースにした強化ナックルは「溶接跡があるからNG」…と言われる可能性が大きいですね。
となると、時間と労力、お金をかけて強度試験を行って公認を取るのか、諦めて4穴に戻すのか、それとも5穴でも問題なく車検がクリアできる車検場を探すのか。考えた結果、私は4穴に戻すことにしました。
ただ、同じ年式の180SXを所有している他県の知人は、2023年10月に5穴化した状態でも問題なく車検に通っているらしいので、地域や担当官、車検場などによって解釈が違う可能性があります。一応「実際に車検NGになった事例あり」ということで、ご理解いただければと思います。
自分的には、5穴化がNGになったことが悲しくもありますが、ぜひ使いたいと思う4穴ホイールもいくつかあるので…逆に考えれば、またしばらくホイール探しを楽しめそうです。
今回購入したもの
180SX純正リア4穴ハブとDIXCELブレーキローター
オートリフレッシュイッセ 純正リアナックル リファービッシュ品(nismo強化ブッシュ圧入済)
日産純正部品たち。
日産純正部品の品番一覧
今回の作業に関わる日産純正部品のうち、調べてわかった品番を以下にまとめておきます。Amazonで取り扱いのある品番については、品番をクリックすることでAmazonの購入ページへ飛べますので、ネット通販で購入する際はご利用ください。モノタロウでもまだ在庫があるものが多く、Amazonより安価に購入できることが多いです。
00921-5402A:リア用コッターピン
43263-35F00:キャップアジャスティング(ギザギザのキャップ)
40268-01E00:ハブシール(スポンジのインシュレーター)
08911-6241A:リアハブ固定用36mmナット
40037-01E00:リアナット内側用ワッシャー
43083-35F6C:リアナックルとハブ固定用19mmボルト(代替品/旧品番43083-35F00)
08911-6441A:リアナックルとロアアーム固定用22mmナット
08921-3202A:リアナックルとロアアーム接続用コッターピン
44141-AW70A:リアブレーキキャリパー取り付け用14mmボルト(代替品/旧品番44141-N9500)
08184-0351A:リアブレーキキャリパーブラケット取付用17mmボルト
08915-2401A:リアブレーキキャリパーブラケット取付用スプリングワッシャー
01111-01401:アッパーアーム・トラクションロッド・トーコンロッドとナックル取付用19mmボルト
08912-9421A:アッパーアーム・トラクションロッド・トーコンロッドとナックル取付用19mmナット
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